2016年4月15日金曜日

第10回 OsiriXのデータベース

今回は、あまりユーザーから触れられることがない、データベースについて少し解説をさせていただきます。

データベースが技術的な話になると際限がないので、ここでは、OsiriXが初期設定で書類ディレクトリに作成する「OsiriX Data」というSQLiteで作られたローカルデータベースに注目したいと思います。

このOsiriX Dataフォルダには、3D画像処理データやDICOM画像、画像診断レポートおよびそのテンプレートなどが保存される非常に重要なフォルダです。

OsiriXのデータベースを用いたファイル管理は、他のデータベースとの接続や、自分でクエリを記述して特定の画像をアルバムにしたりすることも可能です。

はじめに


OsiriXをインストールして、起動すると、もし、書類ディレクトリに「OsiriX Data」というフォルダがなければ、新規にこのフォルダを作るプログラムが自動で実行されます。
その後、書類ディレクトリにOsiriX Dataというフォルダができます。
OsiriXを再インストールする場合は、このフォルダを残しておけば、新しいOsiriXが自動でこのフォルダをデータベースとして認識しますので、データの マイグレーションなどは不要です。
OsiriXの環境設定から、データベースの場所を変更することもできます。

OsiriX Dataの構成


OsiriX LiteまたはOsiriX-KANAGAWAをアプリケーションフォルダにインストールして、書類フォルダに移動して、OsiriX Dataを開いてみましょう。次のような構成になっていることがわかります。


3DSTATE

3D画像を編集した時の編集状態を保存しておくフォルダです。

左:編集前 右:編集後

Database.momd

OsiriXのデータベースのデータモデルファイルが格納されています。
重要なファイルです。

DATABASE.noindex

データベースにインポートされた実DICOMデータが保存されています。
10000枚単位でフォルダが分けられます。

Database.sql

SQLiteのデータベースインデックスファイルです。データベースと全てのDICOM画像とのリンクを記録しています。OsiriX起動画面のデータベースウィンドウのスタディリストとも紐付いています。このファイルにネットワークログも記録されます。
このファイルが壊れると、データベースのリビルドが必要です。

HTML_TEMPLATES

QuickTimeもMovieをExportした後に、Movieを再生するときのブラウザー画面のテンプレートが保存されています。

INCOMING.noindex

DATABASEファルダに保存される前のデータを受信するファイルフォルダです。
データベースのリビルドやデータベースの統合で利用します。

NOT READABLE

OsiriXが読み込めなかったファイルを保存するフォルダです。

PAGES TEMPLATES

.pages拡張子の読影レポート用文書テンプレートを保存しておくフォルダです。
OsiriXは、デフォルトで以下の形式の読影レポート用文書テンプレートを取り扱うことができます。

  • .pages
  • .odt
  • .rtf
  • .doc

拡張子の種類の切り替えは、OsiriX環境設定から行うことができます。

REPORTS

読影レポートが保存されるフォルダです。

OsiriX Dataの設定


OsiriX Dataは、OsiriX環境設定の「データベース」から行います。
多くの設定機能が備わっています。いろいろな設定ができるので、見ていきましょう。


File Management

  • OsiriXのローカルデータベースの場所を決める
  • DICOMファイル以外の画像データの取り込みの可否
  • メディアから取り込むDICOMデータの破損の検証
  • ローカルデータベースへのDICOMデータのコピーの可否

Database Display

  • 日時の表示形式の変更


(日時表示をスラッシュで区切る:デフォルト)

(日時表示をハイフンで区切る:ISO式に)


  • ウィンドウ内のフォントサイズ変更(スモール、レギュラー、ラージ)
  • 患者年齢表示変更(現在の年齢と検査時点の年齢)

Patient unique Identifier

  • 患者UIDへ反映する情報を設定

コメントとステータスの編集

  • スタディに対するコメントを格納する特定のDICOMタグを指定

シリーズパーシング/ソート

  • マルチフレームの分割表示などを設定
  • ソート設定

データベースオートクリーニング

  • 検査日から削除までの期間を指定して削除(1 weekが最短、1 yearが最長)
  • 開かなかった期間を指定して削除
  • コメントがあるまたはない場合に削除
  • PCの空き容量を指定して、空き容量を超えた場合に設定したものから削除(最近作成したもの、開いたもの、追加したもの)

レポート

  • その拡張子のファイルを利用するかを設定
  • DICOM PDFを自動作成するかを設定

Databaseのリビルド

もしもデータベースに心配なことが起こったら、リビルドができます。
リビルド機能は、メニューからFile>Rebuild Entire Database...を選択して起動します。

リビルド機能

コンプリートリビルドは、既存のsqlファイルへのリンクを削除してDATABASEフォルダ内のデータをインポートし直します。

Re-インポートDICOMファイル&クリーンは、もう一度すべてのDICOMファイルをインポートし直します。もし、既存のリンクに紐付かないデータがある場合は、そのデータを削除します。

コンプリートリビルドの操作はマニュアルでもできます。
マニュアルで行う手順は以下の通りです。


  1. OsiriXを終了しておきます。
  2. OsiriX Dataフォルダ内のDATABASEフォルダとINCOMINGフォルダ以外のデータをすべて削除
  3. DATABASEフォルダをINCOMINGフォルダへ移動
  4. OsiriXを起動


OsiriX Dataを動かすSQL


OsiriXのローカルデータベースはSQLiteで作られています。
そのデータ構造のコアデータは、主に以下のものがあります。

  • スタディレベルデータ
  • シリーズレベルデータ
  • イメージレベルデータ
  • アルバムデータ

もっと詳しく知りたい方は、SQLブラウザーでDatabase.sqlを覗いてみてください。
すべてのテーブルがわかります。
このテーブルを応用すれば、他の画像処理ソフトウェアのためにOsiriXをファイルマネージャーとして使うこともできますね。

最後に


今回はOsiriXのデータベースの初歩についてご紹介いたしました。
普段、画像の参照や処理/解析の機能に着目しがちですが、このようなデータベースがそのアプリケーションの設計のキモの部分になっていることを知っていると、なにかトラブルが起きた時にも自分で対応できることが増えると思います。

次回は、3D画像処理機能について触れていきたいと思います。

OsiriXはオープンソースですので、無料で試してみることができます。気軽にご活用ください。

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