2016年7月10日日曜日

第21回 OsiriXを快適に利用するためのハードウェア

どうやったらOsiriXをさくさく・ぬるぬる動かせるでしょうか?

今回は、医用画像処理/解析アプリケーションであるOsiriXを快適に利用するための要点として、ハードウェアを中心にご紹介いたします。

OsiriXだけでなくコンピュータで動かすソフトウェアはすべて、その性能を発揮するための適切なハードウェアが必要です。まずは、コンピュータの構成から見ていきましょう。

コンピュータの構成部品


話をわかりやすくするために、HPのワークステーション(Z840)を見てみます。


一般的には、以下のようなものが主要な構成部品となります。

  • マザーボード
  • CPU・GPU
  • グラフィックボード
  • データ保存ドライブ
  • RAM(メモリ)
  • その他、通信機能を拡張するPCIボードなど

一応、Macの場合を考える参考として、一世代前のMacProの構成も載せさせていただきます。


それぞれの部品についての解説は割愛いたします。こちらのブログなども分かりやすく解説されています(参考リンク:http://korobehashire.blog86.fc2.com/blog-entry-459.html)。

これらの構成部品すべて、それぞれが重要な役割を持っていますが、ここでは、OsiriXを使う上でこの中でも特に意識しておきたいものをピックアップして説明します。

メモリ(RAM)に余裕を


パソコンを買うときに"RAM8GB"などと書かれていると思います。このRAM(らむ:ランダムアクセスメモリ)というのがメモリです。物理メモリなどとも呼ばれます。

メモリの種類はたくさんあり、システムによってその使われ方は様々ですが、ここでは一般的な使われ方だけを対象に話を進めます。

単純に説明すると、RAMが大きいと一度にたくさんのデータを開いたり(操作したり)、複数のアプリケーションを起動させたりすることができます。ただ、大きければ良いというものではなく、後述のCPUやGPUの性能に合わせたメモリ容量を選択する必要があります。

32bitで動作するPCでは、RAMは3.3GBまでしかCPUが使えないので、4GBが限界です。
最近では、64bitで動作するPCが普及していることもあり、家庭用PCでもRAMが8GBや16GB、それ以上のものなど、ハイグレードになってきています。

話を戻して、OsiriXを使うときはRAMはどれくらいがいいのかということですが、OsiriXを動作させるPCは、3D処理や1000枚を超えるシリーズ画像の表示なども行うため、それなりのRAMが必要です。推奨は4GB以上です。

例えば、4つのCTシリーズ(1シリーズ1000枚)を4つのタイルで同時に表示させている状態を考えてみましょう。

512(縦ピクセル数)×512(横ピクセル数)×1Byte(1ピクセルあたり8bitグレースケール)×4タイル×1000枚=1048576000≒1GB

つまり、この画像を表示するために必要なメモリは1GBということになります。
これを例えば、4GB(実質3.3GB)メモリのマシンで実行したら、画像を表示しているだけで約30%のメモリを食っていることになります。

Macはバーチャルメモリ機能を持っているため、物理メモリで心もとないような処理を行う際には、データ保存ドライブの容量を仮想メモリとして処理することもできますが、処理は遅くなります。

RAMには余裕を持たせておきましょう。

データ保存ドライブはSSDを


これまでは、HDD(ハードディスクドライブ)が主流でした。しかし、HDDはそのなの通りデータの書き込みや読み出しでディスクを使うために、処理速度がその回転数などに依存していました。また、回転をさせるものなので、どうしても経年劣化で壊れやすいという欠点もあります。

このようなHDDの限界を打開してくれたのが、SSD(ソリッドステートドライブ)です。
SSDはディスクの代わりに半導体素子を使っています。ディスクの読み書きの時間はなく、データ処理は高速化され、その構造も衝撃に強いものになっています。

MacマシンをHDDからSSDにすると、予想以上にサクサク動くようになります。
どれくらい早くなるかというと、データのストレージでは読み込みと書き込み共に4倍以上早くなったという例も報告されています。(参考リンク:http://www.ishiharaken.com/entry/2014/10/18/174654)

OsiriXを使うときは、SSD搭載のマシンがオススメです。まだまだ価格は安くはないのですが、廉価版としてFusionドライブというHDDとSSDをミックスさせた規格もあります。

今後はSSDを取り入れていきましょう。

CPU(GPU)プロセッサーはパワー重視で


CPUのパワーは動作周波数やグラフィックの性能が高いほどパワーが上がります。(消費電力も上がることがありますが、、)

また、最近のCPUは、GPUとワンチップになっています。CPUの構成内容に「グラフィックス」という項目があれば、ワンチップモデルです。CPUが持っているグラフィックスが良い性能であれば、わざわざ追加でグラフィックボードなどを実装する必要はありません。便利になりました。

Macの場合は、今のところIntelプロセッサですので、i5やi7が一般的に利用されています。Xeonなど、よりハイエンドなCPUもありますが、一般的な画像処理には、8コアスレッドでオーバークロックできるi7を選ぶと良いと思います。グラフィックス(GPUの機能)も忘れずにチェックしましょう。

ワンチップのグラフィックはラップトップなどでも利用できて使い勝手が良いのですが、より高画質の映像の出力や映像化処理速度を求める場合はワークステーション型のPCにグラフィックボードを実装します(このブログの最初にご紹介したZ840のようなPCをワークステーションと言います)。このような工夫をすると、情報量の多いボリュームレンダリング操作でも3D画像を回転させたりする動作がぬるぬる動きます。

例えば、NVIDIAのハイエンドのQUADROシリーズはワークステーションに重宝されています。

Mac OSX Lion時代のXgrid(グリッド・コンピューティング技術)


MacOSX10.8よりも前は、Mac間でグリッド・コンピューティングが可能なXgridという技術がありました。グリッド・コンピューティングを使うメリットは、複数のPCを束にして、分散処理させることで処理速度を高められることです。この技術を使えば、個人の持っているPCの性能がチープでも、他のPCの機能を少しづつ間借りすることができるので、重い処理をするときは便利です。


しかし、Xgridは残念ながら10.8以降のOSX標準機能から削除されてしまっています。

OsiriXにはこのXgrid対応のプラグインがあったようですが、公開されていないようです。Xgridに似たグリッドコンピューティング技術は別の形で公開されているものもあるため、工夫すればOsiriXでもまた使えるかもしれませんね。

最後に


今回はOsiriXをどうやったらさくさく動かせるかについて、ハードウェアを中心にご紹介させていただきました。ご参考になれば幸いです。

Visionary Imaging Services, Inc.は、イメージング技術サポートを通じて、創薬研究や医療機器開発など、臨床試験や臨床研究サポートサービスを展開しています。医療機関や教育機関向けのOsiriXサポートも行っております。よろしくお願いいたします!





2016年6月26日日曜日

第20回 OsiriXの計測ツール活用!(ROIツール、ROIマネージメント)

今回は画像の処理や解析に欠かせない計測ツールについてご紹介していきます。

ここでは使い方を示していきます。

ROI(ロイ)とは、リージョン・オブ・インタレストの略で、文字通り関心領域という意味です。この関心領域には、単に点を示すものや、点をつないだ線、線で囲った領域、領域を束ねた3D空間など、いろいろなものがあります。

OsiriXではこのようなROIに対するツールがいくつか用意されています。どのようなROIツールが使えるのか、さっそくみていきましょう。

ROIの使い方


ROIは、2D/3D画像を表示した状態で使えるようになります。
まずは、2D-ROIから使い方を見ていきましょう。

2D-ROI


2D-ROIとは、2D画像に利用できるROIです。
例えば、次のようなROIが使えます。

(OsiriX-KANAGAWAの2D-ROI一覧)

一つずつ見ていきましょう。


ピクセル間の長さを計測します。
ROIメニューでLengthROIを選択した状態で測り始めるポイントをクリックし、対象物の測り終わりのポイントで再度クリックすると、線が引けます。線が引けると同時に、ROIに付帯するInfo boxで計算された距離がcm単位で表示されます。もし計測値が1mmより小さい時は、μm単位で表示されます。



3ポイントをクリックして、3つの頂点を設定し、内角と外周の角度(外角+180°)を計測します。例えば、60°/300°などです。合計して360°になります。



長方形または四角形のROIです。四角形の左上の頂点となるポイントをクリックし、クリックしたまま、右下の頂点となるポイントでマウスを離します。囲んだエリアの計測ができます。計測できる特徴量は次の通りです。

  • Area:面積
  • Width:幅
  • Height:高さ
  • Mean:ピクセル値の平均
  • Standard deviation:ピクセル値の標準偏差
  • Sum:合計
  • Minimum value:ピクセル値の最大値
  • Maximum value:ピクセル値の最小値



正円や楕円を描くことができるROIです。円の中心となるポイントでクリックし、クリックしたまま中心から離し、任意のポイントでクリックを離します。囲んだエリアの計測ができます。計測できる特徴量は次の通りです。

  • Area:面積
  • Mean:ピクセル値の平均
  • Standard deviation:ピクセル値の標準偏差
  • Sum:合計
  • Minimum value:ピクセル値の最大値
  • Maximum value:ピクセル値の最小値


テキストの中心になる位置でクリックし、テキストラベルを作成できます。このテキストラベルをダブルクリックすると、ROI Infoウィンドウが開き、テキストを編集することができます。このテキストは後述するROI名として扱われます。ROI Infoウィンドウ内にあるthicknessで文字の大きさを変更できます。Info boxは付帯しません。



矢印アノテーションをつけることができます。矢の先になるところをクリックし、クリックしたまま、矢の尾尻になるポイントで離します。Info boxは付帯しません。
2DビューワメニューにあるROIsから、ROI Infoを起動し、Thicknessで矢印の大きさや色、透明度を変更できます。



クローズドポリゴンは、ポリゴンを描くことができます。囲いたい領域にそって、必要なだけポイントをクリックで作成し、囲い終わったら、最後のポイントでダブルクリックすることで、ポリゴンが完成します。クローズドポリゴンでは、最初のポイントと最後のポイントが常に接続されます。
計測できる値は次のものです。
  • Area:面積
  • Length:外周の長さ
  • Mean:ピクセル値の平均
  • Standard deviation:ピクセル値の標準偏差
  • Sum:合計
  • Minimum value:ピクセル値の最大値
  • Maximum value:ピクセル値の最小値


オープンドポリゴンは、クローズドポリゴンとほぼ同じですが、最初のポイントと最後のポイントが接続されません。計算される面積はポリゴンで囲った領域ですが、最初と最後のポイントを直線で繋いだ時の面積となります。



ペンシルROIは、ポリゴンをフリーハンドで描くことができます。クローズドポリゴンに似ています。ただし、作成する時には、描き始めの最初のポイントをクリックした後、クリックしたまま線を描いていき、クリックを離したところでポリゴンが作成されます。計測値はクローズドポリゴンと同じです。



ポイントのピクセル値と、2D画像上の(x,y)座標と3D画像作成時の(x,y,z)座標がInfo boxに表示されます。



ブラシツールは、ブラシで囲った領域の計測ができます。ブラシは、描くモードと消すモードが選べます。ブラシの太さも変更可能です。


使い方は、まず、描くモードで領域を囲います。領域を囲った後、もしブラシ部分を微調整したい時には、ブラシモードをイレーズモードに変更し、ブラシ部分を消すことができます。
計測できる特徴量は次のものです。
  • Area:面積
  • Mean:ピクセル値の平均
  • Standard deviation:ピクセル値の標準偏差
  • Sum:合計
  • Minimum value:ピクセル値の最大値
  • Maximum value:ピクセル値の最小値


平均角度を計算します。マニュルで4点の頂点となるポイントをクリックで描きます。



基準となる線を2つのポイントで作成し、もう一方の基準線を再度2つのポイントで作成します。計4つのポイントを使って2本の線を引き、Cobb角と360-Cobb角の角度を表示します。

(α=Cobb)

OsiriXにはCobb Angleという機能もあります。この機能でCobbを計測することも可能です。



基準線の引き始めのポイントをクリックし、クリックしたまま引き終わりのところで離します。その基準線に対して垂直な2本の線が作成されます。



これは、ROIを作成するのではなく、長さROIとポリゴンROI(クローズド、オープン、ペンシル)に設定されたポイントの位置を修正するツールです。その他のROIには影響しません。

リパルサー(黄色い丸)をあててポリゴンROIの形状を変形できます。



ROIセレクターは、画像に見えているのROIを一気に複数選択できるツールです。
複数の選択したROIを、一括で削除したり、文字の大きさを変えたり、回転したりできます。


このセレクター以外にも、ROIをShiftキーを押しながら選択して複数選択したり、シリーズ全てに設定されたROIを選択する方法もあります(ROIメニュー>シリーズ内の全てのROIを選択)。

3D-ROI


3D-ROIは、容積の解析などに利用することのできるROIです。OsiriXでは複数のROIを同じ名称にして1つのグループのオブジェクトとしたものを3D-ROIとして扱います。この3D-ROIとしてグループ化できるROIは、ポリゴン系のROIと、ブラシROIのみです。

3D処理の手順については、別の機会に詳述いたします。今回はこの3D-ROIの使い方について説明いたします。

使い方は簡単です。

例えば、腫瘍の容積を計測する場合は、2D画像上で同一名称のROIを各スライスに設定し、ROIメニューのROI Volume>Compute volumeで、ROI volumeウィンドウを起動して容積を算出します。

このとき、すべてのスライスにROIを描いていくのはとても大変な作業になるため、ある程度スライスを飛ばしながら大雑把にROIを設定した後に、ROIが設定されていないスライスにROIを自動で作成することもできます(ROI volume>Generate missing ROIs)。

ただし、この機能は、関心領域の辺縁の濃度の閾値などを計算するものではなく、前後のROIのポイントの位置(x,y,z)を参照し、ROIのないスライス上で前後のROI位置の 中央付近に自動でROIを生成するアルゴリズムになっています。そのため、この機能を使った後は必ずROIの微調整が必要です。

ここでは、3D-ROI解析例を示します。

ROIを設定後、ROI volumeからCompute volume

ここまでで、2Dと3DのROIについて見てきました。ここからは、これらのROIをもう少し取り扱いやすくする工夫について説明いたします。

ROIのマネージメントについて


ROIマネージャ


ROIマネージャは2Dや3D-ROIを一覧表示して管理するツールです。

2Dビューワで起動したときと3Dビューワで起動したときで、そのインターフェースが異なります。3Dビューワでは、アイコンからのこの機能を起動でき、ボリュームレンダリングで起動した場合は、ROIマネージャ上で3D-ROIを3Dオブジェクトとして配色することができます。

2DビューワのROIマネージャ
※3D-ROIもグループ化されてリストされます。

3DビューワのROIマネージャ
※ボリュームレンダリング上でROIリスト左のチェックをOnにすると、選択した3D-ROIが3Dオブジェクトとしてボリュームレンダリング表示されます。

ROI info box

上記のROIの紹介で出てきましたが、ROI info boxはROIに設定された名前や特徴量を表示するパネルです。ROIを作成したり、選択した状態で、ROIの右下などに表示されます。

ROI info panel

ROI infoパネルは、ROIの詳細情報を設定するパネルです。

四角形ROIのROI infoパネル表示例

ROIの名前、線の太さ、色、透明度の設定や、ROIデータの保存(.roi拡張子で保存)、領域内のヒストグラム、特徴量データをXMLで出力することができます。

この他、X-Yプロットとリキャリブレート機能もありますが、これは長さROIのみ利用できる機能です。リキャリブレートでは、ピクセルサイズを変更して計測値を確認することができます。

ROIネーミング

ROIの名前の管理は非常に重要です。
OsiriXは、ROIを個別またはグループで識別するために、ROI名を参照しています。

ROIの名前は、初期設定ではROIごとにユニークな名前が割り当てられます。例えば、長さROIではmeasure1(複数作ると、2,3,4と増えていきます)などの名前になります。

最初からROIの名前を固定しておきたい場合は、ROIメニューのSet defoult ROI name...で任意の名称を設定しておきます。

ROI名をデフォルトでつけないようにすることもできます。これは、OsiriX環境設定のViewer設定で、一番下段のオプションのチェックボックスで設定します。
このチェックをOnにすると、すべてのROIがunnamedになり、Info boxにもROI名が表示されなくなります。


ROI削除

ROIの削除は簡単です。
特定のROIを選択状態にして、Deleteキーを押します。あるいは、右クリックウィンドウからDeleteすることや、ROIメニューから、選択されている同じ名称のROIをすべて削除することができます。

ROI spline rendering

ポリゴン系のROIはデフォルトではポイント間をつなぐ線のスプライン補完がOnになっています。
スプライン補完というのは、点と点をつないで線を作るときになめらかな曲線として補完する方法です。

スプライン補完あり(左)となし(右)

もしこの補完が不要な場合は、OsiriX環境設定のViewerのオプションで、チェックを外しておきましょう。

(青矢印部分)

ROIsデータ保存

2016/6現在は、OsiriXは、ROIデータをDICOM-SRとしてカプセル化して保存しています。DICOMデータとして、ネットワーク通信もできます。ただし、OsiriX以外のDICOMビューワではOsiriXで作成されたROI(.roi拡張子)は読み込むことができませんので注意してください。

最後に


以上、今回はOsiriXのROIツールについて解説しました。
次回は、このROIを使って3D画像処理の世界を覗いてみましょう。

ビジョナリーイメージングサービス株式会社は、日本(特に神奈川の)ユーザーのニーズにいち早く応えるために、GRAPHYを開発しています。オープンソースです。



2016年6月17日金曜日

第19回 OsiriX-KANAGAWAのインストール

2016/8/9追記:
OsiriX-KANAGAWAは、「GRAPHY」に概念を引き継ぎました。
以後、GRAPHYをご利用いただけますよう、お願い申し上げます。

今回は、これまでにこのブログで頻繁に登場しております、「OsiriX-KANAGAWA」についてご紹介いたします。OsiriX-KANAGAWAのサイトはこちらです。

OsiriX-KANAGAWAの発案と公開までの経緯


日本では多くの素晴らしい医用画像処理ワークステーションが販売されていますがすべて非常に高額(数百万)です。そのため、学生やバイオメディカル分野の科学者は、このようなワークステーションを利用したくても利用できないのが現状です。

このような現状は、個人の環境や活動を制限するため、教育や研究の質の向上を停滞させているかもしれません。

このような課題に対処するために、非常に高機能な医用画像処理ワークステーションであるオープンソースのOsiriXを活用し、OsiriX-KANAGAWAとして国内で普及させることを考えました。

OsiriX-KANAGAWAは、世界中の研究機関のユーザーが進化を促すOsiriXを継承し、学生・科学者個人の役割や肩書き、学術領域、所属組織、研究規模にとらわれない、医用画像を科学するソフトウェア環境の一端をなします。

OsiriX-KANAGAWAのイニシャルなミッションは、「高機能な医用画像処理ソフトウェアの開発とその普及」です。

特徴

  • Free Open Source Software
  • 世界水準
  • 病気や怪我と戦うための武器(画像処理や解析として)
  • 日本発(匠の心、日本にしかない良さ・強さ)
  • クールにMacで動作


OsiriX-KANAGAWAのインストール


OsiriX-KANAGAWAは、今からすぐに使い始めることができます。
さっそく、使ってみましょう。

手元にMacを準備して、以下の手順でインストールします。

1.OsiriXをインストールしたことがない方は、次の手順に進んでください。もしすでにOsiriXをインストール済みの場合は、document(文書)フォルダの既存のOsiriX Dataフォルダをバックアップしてください。(例えば、フォルダ名を「OsiriX Data_」などに変えます。)
2.OsiriX-KANAGAWA-binary.zipをダウンロードして、解凍してください。(https://github.com/tatsunidas/OsiriX-KANAGAWA-binary/archive/master.zip)
3.解凍後、フォルダ内にある「OsiriX-KANAGWA.app」を、アプリケーションフォルダに移動してください。
4.OsiriX-KANAGAWAをアイコンをクリックして起動してください。
起動できましたか?
※OsiriX-KANAGAWAは、2016/6時点で32-bitバージョンとなっています。
5.新しくdocument(文書)フォルダに「OsiriX Data」フォルダができます。必要に応じて、こちらのフォルダにバックアップした「OsiriX Data_」内の画像データを移行してください。

トレーニングデータのダウンロード


はじめて起動した場合は、データベースは空なので、表示するデータがありません。
OsiriXは、教育や研究目的で利用できるDICOMデータが用意されています。
必要に応じて、データをダウンロードして使ってください。

(すべてダウンロードすると、結構重いです。)

(http://www.osirix-viewer.com/datasets/)

データをダウンロードしたら、zipのまま(あるいは解凍して)、データをインポートします。

さらなる操作については、このブログの別の回を見てください。

最後に


以上、今回はOsiriX-KANAGAWAについてご紹介をさせていただきました。

高度な医用画像処理アプリケーションのオープンソース化は、これまで高価だった医用画像処理ワークステーションを安価に構築することを可能にし、これまで費用面で普及しずらかったワークステーションを爆発的に世界に普及させる第一歩となりました。

今や、OsiriXは世界中の研究機関や大学・専門学校などの教育・研究の場において、広く利用されています。

OsiriX-KANAGAWAはこのような活動の1つに過ぎませんが、日本で使いやすいツールとして広まって欲しいと思っています。

第18回 放射性核種の放射能量減衰計算ツールの紹介

今回は、放射性医薬品を想定した放射能量の減衰計算をご紹介したいと思います。

OsiriXは画像解析アプリケーションですので、直接は関係ありませんが、DICOM画像のメタデータから投与量と投与時刻、撮像開始時刻を確認し、これらの情報から撮像時に放射能がどれだけ残っていたかを確認する作業を行う可能性もあるのではないでしょうか。

この作業を簡単に行うために、独自にツールを開発している施設は多いと思います。

今回は、Queensland大学でedXの講義ツールとして開発された放射能減衰計算ツールをご紹介いたします。


使いながら覚えよう!


例に沿って、お話を進めます。

早速、ツールを別ウィンドウで起動してください。


ツールはこちら。

以下のようなインターフェースが起動します。



今日(あなたがこのブログを読んでいる今日)、12:00にフルオロデオキシグルコース-18(F-18)が400MBqだったとします。

これが、当日の14:00にはどのくらいに減衰するでしょうか?


非常に単純な例です。このツールを使って1分もかけずに調べることができます。

1. Isotopeを選びます:  F-18
decay calculator
2. 初期状態のD1に日付と時間を入力します: 24時間表記です。
decay calculator
3. 調べたい時間帯D2を入力します:上記と同様の操作で、D2を入力。
4. 単位を選択します: MBq
decay calculator
5. 放射能量を入力します: ここでは4001とします
decay calculator
6.右上のCalc button をクリックし、減衰後の放射能量を計算します。 (187.76MBq)
decay calculator
7. 減衰計算過程の結果を見やすくするために、Calc横のChartボタンで、チャートを確認できます。グラフをタッチして、各時刻の放射能量を確認できます。
decay calculator

以上です。うまく操作できましたか?
もし、計算結果が異なってしまった場合は、設定を再度確認してみてください。


最後に



今回はOsiriXを使っているときにあると便利な放射能量の減衰計算ツールをご紹介いたしました。このツールのご紹介を通じて、何かのお役に立てば幸いです。

Visionary Imaging Services, Inc.は、イメージング技術サポートを通じて、創薬研究や医療機器開発など、臨床試験や臨床研究サポートサービスを展開しています。
医療機関や教育機関向けのOsiriXサポートも行っております。
よろしくお願いいたします!



2016年6月15日水曜日

第17回 OsiriXでRECIST1.1評価を学ぶ!(評価クライテリアシリーズその1)

今回は、医薬品・医療機器開発を支援する医用画像技術の紹介の第1弾として、治療の効果判定や抗がん剤の薬効効果判定に利用される評価クライテリア「RECIST」(バージョン1.1)をOsiriXとエクセルを使って実施する手順をご紹介いたします。

RECIST(れしすと)??と思った方は、そのまま読み進めていただければ幸いです。

OsiriXには、有償ですが、RECIST1.1評価用のプラグインプログラム(aycan社製:30日間の無料お試し可能)があります。
このような有償のプラグインは、独自のROIマネージメント機能があり、計測結果を自動でデータテーブルにするなど、RECIST評価を効率化してくれます。

(RECIST1.1評価用のプラグインプログラム(aycan社製))
※サンプルです。実際の計測シーンではありません。

しかし、本ブログでは、無料、かつ、なるべく本質的なことを捉えていく・考えていくために、あえてこういった便利機能のない状態で、評価方法を考えていきたいと思います。

RECIST1.1については、参考資料を本稿末尾に添付しています。ビギナーの方のご参考になれば幸いです。

まえおき:医薬品・医療機器開発と画像評価


抗がん剤を始め、認知症の診断薬や、糖尿病治療薬、関節リウマチ治療薬、心血管系治療薬、造影剤などの医薬品、カテーテルなどの医療機器の開発にCTやMRIなどの医用画像が利用されていることをご存知でしょうか。

なぜ利用されるのかというと、画像から客観的な評価をするためです。

例えば、抗がん剤の例では、抗がん剤を投与する前と投与した後とでその画像を比べると、がんの影が小さくなったり、なくなっていれば良くなっていることがわかり、がんの影が変わっていなかったり、増えていたり、大きくなっていたりすれば悪くなっていることがわかります。

このように体内の状態を可視化することで、解剖学的な形態や機能が数値として表現できるようになるため、これらの客観的な解析結果が、医療技術開発のエビデンス(根拠)として利用できるようになるということになります。

しかし、この画像評価は、どのように評価を行うかによって、結果が異なってきます。

世界中のたくさんの科学者が、個々でばらばらに独自の方法で画像評価を行っていては、どの手法で得られた結果が適切なものか意見が分かれ、コンセンサスが得られにくいという非効率が生じます。

そのため、世界中からコンセンサスを得られるように統計的にもよく考慮された画像評価方法(評価クライテリア)が開発されています。

抗がん剤の領域では、医薬品開発や治療の経過観察などのために、このような評価クライテリアが開発されており、その代表的なものがRECIST1.1です。

RECIST1.1


RECIST1.1は、固形腫瘍を対象として、CTやMRIの画像に映し出された病変を経時的に計測し、治療の効果を調べる方法の一つです。レントゲン画像、超音波、PET、あるいは日用品のカメラなどで撮影された画像を利用することもあります。

参考資料を添付します。



その他の評価クライテリア

RECIST以外にも、腫瘍あるいは何らかの疾患の種類別に評価クライテリアが開発されています。
以下、悪性新生物を対象とした代表的な評価クライテリアを挙げます。RECISTでも、疾患によってモディフィケーションがある場合は、名前の違う兄弟クライテリアが開発されたりしてます。

標準のOsiriXでRECIST1.1評価を試みる


RECIST1.1の手順を、OsiriX-KANAGAWAを使って検証的にやってみたいと思います。
ただし、筆者は放射線画像診断医や腫瘍医ではありませんので、実際のところと違う部分があるかと思います。技術者の視点から、ご紹介させていただきます。

今回、OsiriX-KANAGAWAの他、評価結果入力用にエクセルも準備しました。
今回のエクセルはこちらからどうぞ。

では、はじめていきましょう。

データベースを作る


最初にやることは、メインの画像データベースとは別に、固有の臨床研究/試験用のデータベース(評価用データベース)を作ります。
こうしておくことで、オリジナルのデータに手を加えずに残し、評価用データベースで匿名化や盲検化もできますし、被験者ごとの画像データのセレクションが行えます。画像データのセレクションというのは、評価に必要なデータだけをデータベースに用意しておくという意味です。

今回は、簡単にするために、任意のフォルダにデータベースを作ります。

やり方は簡単です。

好きな場所にフォルダを作っておきます。例えば、今回はOsiriX Dataの中に、RECIST TEST DBフォルダを作っています。
そして、OsiriX-KANAGAWAのメニューから、File>New database folder...を選択し、先ほど作っておいたRECIST TEST DBを選択します。すると、OsiriX-KANAGAWAのデータベースパネル(Sources)に、新しくデータベースが認識されます。


(データベースが追加された状態、データはインポート済み)

あとは、このDBに、評価対象の画像データをドラッグ&ドロップしたり、インポートしたりして、画像データを追加して完了です。

この例では、フォルダを作りましたが、このやり方でなくとも、外部のデータベースやDICOM nodeとリンクさせてもOKです。

ベースライン評価を行う


データベースができたら、あとは評価あるのみです。

RECISTでは(RECISTに限らずですが)、治療前の時点を、ベースラインと呼びます。
このベースラインを起点として、次の時点がTIMEPOINT1、TIMEPOINT2...と続きます。

このTIMEPOINTはVISIT(ビジット)と呼ばれることもあります。(語源は、CRAがデータを病院に回収しに訪問することと考えられます。)

まずは、この起点となるベースラインから評価をしていきます。

画像評価の流れは、以下のように進めていくことを考えました。
  1. 病変(Lesion)を見つける
  2. 測定して、測定可能病変かどうか見極める
  3. 標的病変を決め、ROI保存、キーイメージ保存&エクセル入力
  4. 非標的病変を決める
  5. その他の所見があればメモする
今回は、簡単にするために、肝臓に標的病変が一つだけある場合をシミュレーションしてみます。標的病変が多い場合には、同様の手順を繰り返すだけです。

まず、ROIの計測ツールで、長径を計測します。
ここでは、リンパ節病変ではない病変(長径を30mm)を標的病変と仮定します。

(ROIツールを選択)
(計測:サンプルですので、病変はありません)

OsiriXでは、ROIがデータベースに残るので、いつでも参照し直すことができます。
また、計測値をKeyイメージとして記録しておくと、見返す時に便利です。Keyイメージの設定と表示については、またの機会にご紹介いたします。

ここで、エクセルに、ターゲットリージョン1として、計測値を記録します。
エクセルのTarget region1の計測値に30を入力します。

これで、ベースラインの計測を終了します。
続けて、次のタイムポイントの評価シリーズ画像を表示して、ベースラインの標的病変と同じ病変を同じ方法で計測していきます。

フォローアップ評価を行う


フォローアップでは、ベースラインよりもあとの画像を評価していきます。このとき、ベースラインと同じ病変を評価しなければなりません。
そのため、ベースラインの画像とフォローアップの画像とを並べて表示すると評価がスムーズに行えます。
ここで、表示シリーズ間でスライス位置の同期をOnにしておくと便利です。

(Sync series different studies at current positionをチェック)

この設定後、ベースラインで決めた標的病変と同じ病変を計測します。

(ベースラインで計測した病変をフォローアップ計測)

シリーズ同期をしておけば、ベースラインの計測ROIとほぼ同じスライスで計測ができ、病変も間違えにくくなくなります。

そしてKeyイメージ設定&エクセル入力(長径16mmとします)を行います。

このシミュレーションでは、標的病変1つのみを対象としていますが、実際に他にも病変がある場合には、ベースラインで決めた標的・非標的病変、およびその他の所見を確認する必要があります。

ベースラインとTIMEPOINT1だけの計測ですが、エクセルは次のようになりました。

(BSに30mm、TP1に16mmを入力)

(46.67%縮小し、時点評価はPR)

このように、エクセルにはフォローアップがあれば続けて入力していきます。
そうすると、病変の計測値の径和から、変化率を算出でき、その変化率をもとに、CR、PR、SD、PDの時点評価を得ることができます。

いろいろと使える機能


シンプルにRECISTだけを行う場合は、上述の方法だけでもできるのですが、やはり、癌を撲滅することを目的とした研究で利用されることが多いということもあり、データの保管や、少し計測方法を変えてみたりと、工夫をされることもあると思います。

ここでは、少しだけ、便利機能を紹介します。

・ROIデータの出力

OsiriXで設定したROIは、xmlデータで出力できます。
ROIマネージャで一覧表示もできます。
画像ではなく、数値データが欲しい場合など、便利に使えます。

・体積の測定

ROIを幾つか設定し、同名のROIとしてグループにすることで、体積も計測できます。

・PETのSUVbw値の確認

こちらは、ご存知の方も多いと思いますが、PETのSUV(body weight)も計測や補正が可能です。SULは、体積中の最大値を参照することで確認できます。

・JPEG画像の取り込みとキャリパーによるピクセルサイズ補正

もし、皮膚病変をキャリパー付きで写真撮影して、この写真をOsiriXで計測するには、Pixelのキャリブレーションも可能です。ただ、写真撮影に相当な精度が求められます。例えば、キャリパーを画像に垂直に置くなどです。写真で計測するよりも、直接計測している画像を撮影して、その写真だけを保管する使い方の方が良さそうです。

・レポートを作ってみる

このブログでもレポート機能についてご紹介しています。
pagesやwordなどをうまく利用して、自分だけの画像評価レポートを作ることができます。
レポート例として、EORTCのベースライン評価用レポートテンプレートをご紹介します。

(EORTCのベースライン評価用レポートテンプレート)

OsiriX以外の秀逸なソリューション


以上、標準のOsiriXを用いたRECIST評価をご紹介いたしました。

ひとつ言えるのは、標準では、薬効評価についてはまだまだ開発が必要です。
しかし、RECISTなどに関して言えば、すでに世界には素晴らしい薬効評価のためのワークステーションが幾つか発売されています。

冒頭にご紹介したRECISTのプラグインもそうですが、薬効評価を行うためだけに開発されているものもあります。こういった専門のツールは、やはり汎用ツールにはない気配りがされています。
OsiriXで事足りるよう開発していきたいのは山々ですが、あるものは使わないと損ですので、プロフェッショナルの方々には、素晴らしいソリューションをご利用頂きたいです。

最後に


今回はOsiriXを使ってRECIST1.1評価の流れを見ていきました。
今後も、画像評価クライテリアシリーズとして、別のクライテリアでの評価方法などをご紹介させていただく予定です。

OsiriXでもRECIST1.1評価は可能ですが、より秀逸なソリューションもあります。
Visionary Imaging Services, Inc.では、OsiriX以外のソリューションのご紹介も可能です。ご興味のある方はお気軽にご連絡ください。

参考資料
  • RECIST1.1:http://www.jcog.jp/doctor/tool/RECISTv11J_20100810.pdf
  • RECIST-WGリンク:http://www.eortc.org/recist/
  • 癌腫の違いにおけるRECIST利用上の留意点:RECIST 1.1 Standardisation and disease-specific adaptations: Perspectives from the RECIST Working Group
  • RECIST評価エクセルver0.1